まとまったお休みに風邪を退いてしまったという方も多い様ですね。回復に向かう間にも残ってしまう咳の症状から、筋肉痛や体力の消耗が起こり、長期に渡って悩まされることも。咳の原因は様々にあり、寒さが残る季節には寒気や乾燥、花粉などが考えられます。様々な予防策の要となる、喉(のど)のコンディションを日頃から意識し、トラブルを未然に防ぎましょう。
ここでは喉に備わる機能のお話や渇きの原因など、日頃からできる喉(のど)のケアを、生活スタイルと食事に分けてお話します。身近なポイントを踏まえて、寒暖差に悩まされる季節と上手に付き合っていきましょう。
喉(のど)の“せん毛運動”
喉(のど)にトラブルが生じる原因の一つに空気中の乾燥があります。
鼻から喉に続く粘膜には「せん毛」という組織があり、このせん毛が小刻みに動くことで体内に侵入したウイルスや雑菌を、咳やタンによって体の外へ排出する働きがあります。しかし、自浄システムであるせん毛運動も、寒さや乾燥によってその動きは鈍くなり、初春に風邪を退く方が増えるのも、せん毛運動の低下が一因と考えられています。
せん毛運動を活発にするポイントは?
喉(のど)を温め湿度を保つことが大切になりますが、日常生活ではどんな所に注意したら良いでしょう。
- うがい
- 外出先から戻った自宅でのうがいはもちろん、折りたたみ式のコップなどを持ち歩き、外出先でもこまめなうがいを心掛けると良いでしょう。
- マスク
- 寒気や乾燥から守るだけでなく、ウイルスや菌の侵入を防ぐ上でも効果が期待されています。隙間を作らないタイプのものや保湿シートをプラスしたものはより効果的といえますね。
- 加湿器
- エアコンや床暖房などを使用しているご家庭では、加湿器などを置いて湿度を保ちましょう。
- 水分補給
- 夏場とは異なる水分摂取を意識することが大切です。冬場は空気が乾燥し、就寝中の呼吸や日常の会話からも体内の水分は奪われていきます。体を冷やさない成分の飲み物を、温めてこまめに取る様にしましょう。
- 携帯アイテム
- 粘膜に潤いを与え殺菌作用のあるはちみつ、きんかんなどがおすすめ。シュガーレスの飴やドリンク、スプレータイプなど、バッグに入れて持ち歩きましょう。唾液の量も増え口腔内の乾燥も防ぎます。ビタミンCが豊富なきんかんや大根にはちみつを合わせ、シロップを常備するのもおすすめです。
注意:はちみつには、ボツリヌス菌がいることがある為、乳児期のお子様には控えましょう。
喉の渇きの原因とは?
大気の乾燥や室内の暖房機器によって、喉の渇きを感じやすい季節ですが、渇きの原因は私たちの体の中にもあるのです。人間の体は寒くなると体温を逃がさない様に、毛穴や筋肉を収縮させ、体内の熱を守ろうと働きます。肌や筋肉の収縮に伴い、血管も収縮し血流不足が起こります。血液中の水分量は不足し、全身を潤す水分が減るため渇きを感じるというメカニズムが生まれます。この場合、多くの水分を摂取しても脳が緊張状態にあるため、体が受け入れることができません。寒い季節には、少しの量をこまめに摂取することが大切です。
喉を労わる食材は?
- 大根(喉の痛みや咳に)
- 大根には、消炎作用があり、喉の腫れを和らげるといわれています。
- 春菊(胃腸の調子を整え、咳を鎮める)
- 香りの成分であるαビネン、ベンツアルデイドは胃腸の調子を整え、咳を鎮めて痰を排出しやすくするといわれています。βカロテンやビタミンCが豊富に含まれるため“食べる風邪薬”ともいわれています。
- きんかん(喉の炎症を抑え、腫れを抑える)
- きんかんに含まれる“ヘスペリジン”が喉の炎症を抑え、扁桃腺の腫れも抑えるといわれています。
- 長ねぎ(炎症を抑える)
- 長ねぎに含まれる成分“ネギオール”が炎症を抑え、揮発性の成分を鼻や喉から吸うことで効果が期待できるといわれています。
- れんこん(咳や痰を切り、炎症を抑える)
- でんぷん質が多く、調理をしてもビタミンCが残りやすいのも特徴。ねばねばの成分が胃腸を整えます。
- クレソン(抗菌効果、筋肉の弛緩)
- βカロテンを含むクレソンは[抗菌効果+筋肉弛緩+喉や肺呼の炎症を抑える]など、吸器系統を守ります。更に、粘膜や肌の健康を守り、辛味成分が風邪の際に効果的といわれています。
- 卵(栄養価が高く、消化が良い)
- 卵にはたんぱく質やビタミンが豊富。白身に含まれる成分“リゾチーム”は、喉の痛みや痰を切る薬に利用される成分が含まれています。
- 青じそ(喉の痛みを抑え、咳止めに)
- 実にも同様の効果が期待できるため、様々な料理に添えて一緒に頂きましょう。
喉に悪い食材は?
- 唐辛子やコーヒー
- 弱った喉に刺激物は避けましょう。胃腸も荒れやすく回復が遅れます。
- 牛乳
- 液状の乳製品は、濃い痰が出やすくなるといわれています。
- その他の食材
- もち米、豚肉、えび、かに、たけのこ、餅菓子、柿、酢、こしょう など。
材料(4人分)
- 大根
- 400g(約1/2本)
- 長ねぎ
- 中1本
- 厚揚げ
- 中1枚(約135g)
- ごま油
- 大さじ2
- 牛ばら肉又は挽き肉
- 150g
- 和風だし汁
- 400cc
- 酒
- 大さじ2
- 砂糖
- 大さじ2
- みりん
- 大さじ1と1/2
- めんつゆ
- 大さじ2
- 赤味噌
- 70g
- しょうがすりおろし
- 小さじ1
- クレソン
- 適宜
肉味噌だいこん
風邪を退かない樣に日頃より気をつけることが大切ですが、退いてしまった時には早めのケアで回復を図りましょう。メニューでは、喉の腫れを和らげる大根とβカロテンを含むクレソンの抗菌効果、葱に含まれる“ネギオール”の成分で、炎症を最小限に抑える組み合わせに!昔からある長ねぎを喉に巻くスタイルは、揮発性の成分を鼻や喉から取り込むことで炎症を抑えるといった、同様の効果を期待するためと言われています。
焼き目をつけた大根や長ねぎに牛ばら肉を合わせ、深みのある赤味噌ベースのたれを絡めて煮込んだメニューです。甘辛い煮物とさっぱり頂けるクレソンの組み合わせが新しい一皿に。
- 大根は、厚めに皮をむき、幅約1cmの半月切りにしておく。
- 長ねぎは、長さ約4cmにカットしておく。
- 厚揚げは、一口大にカットしておく。
- 牛ばら肉は、食感を残して粗く刻んでおく。
- クレソンは、食べやすい長さにカットしておく。
- 鍋またはフライパンに、ごま油を敷き、大根と長ねぎ、厚揚げを入れて焼き色がつく程度まで焼き付けて取り出し、更に油を足して牛肉を炒める。
- ①へ、大根と厚揚げ、和風だし汁、酒、砂糖を加えて弱火~中火で約10分煮込み、更にみりん、めんつゆ、赤味噌、しょうがすりおろしを加え、水分を飛ばしながら大根が柔らかくなるまで煮込む。
- ②へ、長ねぎとクレソンを加え、肉味噌を絡めながら熱を入れ、器に盛り付ける。
材料(4人分)
- 鶏ささみ肉
- 2本
- 酒、塩
- 適宜
- 大根(※皮も使用)
- 200g(約1/4本)
- 人参(※皮も使用)
- 80g
- 青葱
- 約10本
- こんにゃく
- 100g
- たらこ
- 1と1/2腹(約大さじ4)
- 酒
- 大さじ2
- しょうゆ
- 大さじ2
- みりん
- 大さじ1
- 砂糖
- 大さじ1/2
- 油
- 適宜
- 金ごま
- 適宜
彩り野菜のたらこ和え
水分の多い大根は、そのまま頂くとカラダを冷やしますが、加熱調理することで保温効果が期待できる万能野菜です。メニューは、大根や人参の皮を丸ごと使用した色合いの良い炒めものです。野菜の食感の違いと、たらこのプチプチとした口当たりが新鮮な和え物は、箸休めにも最適な一品に。喉ケアのため刺激となる辛味成分は含みませんが、普段使いのアレンジとして明太子を代用するとおつまみに変身!
- 鶏ささみ肉は、酒と塩を振って10分置き、沸騰した湯に入れて約1分加熱、火を止めそのまま置いて中心まで熱を通しておく。粗熱を除き、食べやすい大きさに手で裂いておく。
- 大根と人参は、表皮をこすり洗いして斜めにスライスし、更に長さ約6cmの千切りにしておく。
- 青葱は、長さ約3cmにカットしておく。
- こんにゃくは、スライスにしてから食べやすい長さの千切りにしておく。
- たらこは、縦に切り込みを入れ、包丁の背でしごき出しておく。
- 器に、調味料(酒、しょうゆ、みりん、砂糖)を合わせておく。
- 金ごまは、乾煎りをして粗く潰しておく。
- フライパン又は鍋(テフロン加工)に油を敷き、強火でこんにゃくを炒め、全体に油が馴染んだら、更に鶏ささみ肉、大根、人参を加えて炒める。
- ①へ、調味料を加えて水分を飛ばしながら全体を中火で炒め、水分がなくなってきたら火を止めてステンレスのボウルに移し、青葱を加えて軽く和え、粗熱を除く。
注)大根の水分が多い場合には、途中炒めた素材を取り出して煮汁を煮詰め、再度全体を絡めましょう。食感良く仕上がります。 - ②へ、ほぐしたたらこと金ごまを加えて馴染ませ、器に盛る。